中島ひとみ、思い出の地で9年越しの涙!12秒60の日本新で2戦連続レコード更新
福井の夜空の下、またひとつ歴史が刻まれた。Athlete Night Games 2026、女子100mハードル。中島ひとみ(長谷川体育施設)が12秒60(+0.7)の日本新記録を樹立。わずか1週間前に自身が打ち立てた日本記録を0.02秒更新する、2戦連続の快挙だ。
速報タイマーが示したのは12秒59。日本女子初の大台かと会場がどよめいた瞬間、中島自身も「一瞬、すごくうれしかった」と振り返る。正式計時は12秒60。それでも、胸を張るに十分すぎるタイムだ。ただ、自分で自分をコーチングする孤高のハードラーは、すぐに冷静さを取り戻す。「更新できたのは選手としてうれしいのが半分。でも、冷静に『まだ足りなかった』という気持ちがあった」。その瞳に、しかし、こみ上げるものがあった。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro この福井県営陸上競技場は、中島にとって特別な場所だ。9年前、園田学園女大4年だった彼女は、ここで行われた日本インカレに出場。同じ学年の桐生祥秀(東洋大、現・日本生命)が男子100mで日本初の10秒切りを達成した「9.98スタジアム」で、中島は予選で自己新の13秒60をマークし、決勝は5位だった。「それからちょうど1秒、短縮できたんだなって。それがすごくうれしかったんです」。9年という歳月をかけて、1秒という壁を打ち破った感慨はひとしおだ。
走りの内容にも手応えを感じている。前戦の富士北麓ワールドトライアルでは「ハードルの上空で抜き脚が大きく回る」課題があった。そこで今回の福井では「リードと抜き脚を一体化させる」ことをテーマに掲げた。「やりたい動きができたのが良かった」と納得の表情を見せる。
この12秒60は、有効期間外(8月23日から)ながら来年の北京世界選手権参加標準記録にピタリ。さらに中島は、その先を見据える。「北麓の決勝で向かい風の中で12秒62を出せたのは本当に大きくて、12秒5台が見えました。1個1個、ピースをつなげて、今年中に12秒5台を出せれば」。
「記録以上に、ここまでやってきた過程が大事。その過程が人生を豊かにしてくれる」。中島はそう言って笑顔を見せた。9年かけて1秒。そのコツコツとした積み重ねが、彼女を日本最速のハードラーへと導いた。この後、ポーランドとイタリアでレースを予定。早ければそこで世界切符を手にする可能性もある。そして、名古屋アジア大会へ。「いろんな方々の支えで競技をできていますので、みなさんに金メダルを笑顔で見せられるように準備していきたい」。中島ひとみの挑戦は、まだまだ加速する。
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