女子テニス選手に年間1万2000件の誹謗中傷、ギャンブル関連が半数超
女子テニス界を襲うSNS上の誹謗中傷が、依然として深刻な数字を突きつけている。シグニファイ・グループが発表した最新レポートによると、2025年に女子選手が受けた誹謗中傷の投稿・メッセージは1万2000件以上に上った。前年とほぼ同水準ながら、悪質な投稿の66%が削除されるなど、一定の改善も見られたという。
この調査は、AIを活用した脅威検知システム「スレット・マトリックス」を用いて、X(旧Twitter)、Instagram、YouTube、TikTok、Facebookの各プラットフォームを分析。人間のアナリストも加えたハイブリッド方式で、投稿の深刻度を評価した。35のアカウント(12人の個人に関連)は法執行機関に通報されている。
特に目を引くのは、誹謗中傷の背景にあるギャンブル問題だ。2024年の報告では、中傷投稿の48%が怒り狂ったギャンブラーによるものだったが、2025年は42%とやや減少したものの、深刻なケースに限れば59%が賭けに関連するものだった。試合の結果に一喜一憂するファンならぬ「ギャンブラー」たちが、負けを選手に八つ当たりする構図が浮き彫りになっている。
WTA(女子テニス協会)の選手理事会は声明を発表。「少数のアカウントから発信されているとはいえ、その影響は計り知れない」とし、「WTAとワールド・テニスがこの問題を真剣に受け止め、選手を支援し、許されない行為だと明確にしているのは心強い」と述べた。さらに「この報告書で示された進歩は、スポーツ界全体で協力し、誹謗中傷を特定し、選手を守り、加害者に意味のある制裁を下すことの価値を証明している」と強調した。
イギリスのケイティ・ボルター(同国ランキング2位)は、2025年にBBCスポーツのインタビューで「殺害予告を受けた」と告白している。彼女の同僚選手たちは、こうした問題に対処するため、ソーシャルメディアプラットフォームに本人確認(ID認証)の導入を求める声を上げた。
WTAとワールド・テニスは共同で、「この報告書からの洞察は、問題への理解を深め、卑劣なオンライン虐待の被害者を守り、責任ある者を罰するための断固たる行動を取る上で極めて重要だ」とコメント。「今日の結果はこれまでの対策の有効性を示しているが、さらなる進歩にはソーシャルメディア企業、法執行機関、統括団体、ギャンブル業界の協調した行動が必要だ。我々は今後も積極的にその必要性を訴えていく」としている。
ちなみに男子ツアーでも、AI駆動の新システムが1年間で16万2000件もの投稿をブロックするなど、深刻な誹謗中傷への対策が進められている。テニス界全体で「ネットの闇」と戦う姿勢は、まだ始まったばかりだ。
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