FIFAのW杯売却計画に欧州が猛反発、トランプ要因で火種拡大
サッカー界に今、かつてない激震が走っている。国際サッカー連盟(FIFA)が将来のワールドカップ(W杯)の商業権と運営権を民間投資ファンドに売却する計画を進めていることを受け、欧州サッカー連盟(UEFA)が「次世代のために信託されているものを売却する権利はない」と猛反発。なんと将来のW杯をボイコットする可能性まで示唆したのだ。
この計画が発表されたのは、米国、カナダ、メキシコの3カ国で開催された今夏の北中米W杯が大成功を収めた直後。熱気冷めやらぬ中での発表だけに、反発はなおさら大きい。さらに火に油を注いだのが「トランプ要因」だ。報道によれば、計画にはドナルド・トランプ米大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏の兄弟、ジョシュア・クシュナー氏が関与しているという。トランプ氏本人の関与は確認されていないものの、ファンの間では不信感が一気に高まった。
寝苦しい夜が、これひとつで快適にAirio Pro その背景には、トランプ氏のこれまでの“サッカー界への介入”がある。W杯期間中、米国代表フォラリン・バログンの出場停止処分を裏で覆そうとした疑惑。優勝したスペインの祝福セレモニーに乱入した行動。そして何より、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長がトランプ氏に史上初の「FIFA平和賞」を授与するという異例の決定を下したこと。フランスのスポーツ紙レキップは、トランプ氏、インファンティーノ会長、W杯トロフィー、そして宙を舞うドル札を合成した写真を一面に掲載し、「彼らは一体どこまでやるつもりなのか?」と問いかけた。
FIFAはこの計画によって、数百万ドル規模の資金が流入し、特に貧しい国々での草の根サッカー発展に役立つと主張。アフリカやアジアの新興サッカー地域では歓迎される可能性が高い。しかしUEFAは、新たな投資家が競技に影響力を及ぼす力を金で買うことに懸念を表明。4年に一度のW杯の開催頻度を増やして大会の価値を下げたり、金銭的利益のためにルールを変更したりする危険性を指摘している。もしUEFAのボイコットが現実になれば、来年の女子W杯だけでなく、次回の男子大会からスペイン、イタリア、フランス、ドイツ、イングランドといった強豪国が姿を消す事態になりかねない。
この対立の根底には、サッカーファンの深い心理がある。ユルゲン・クロップ新ドイツ代表監督は「これは我らのゲームだ。彼らのゲームではない」と代弁。何か神聖なもの、本来自分たちのものであるものが奪われ、もう二度と戻らないという感覚が、多くのファンの胸に去来している。金融資本の暴走が労働者階級のスポーツをグローバル化し、一部の富裕層だけを潤す一方で、大多数のファンは取り残されていく。W杯決勝のハーフタイムがスーパーボウル風のショーのために延長されたことや、給水タイムが商業目的と見なされたことにも、ファンは「米国化」への警戒心を強めている。
しかし、サッカーファンは決して無力ではない。2021年、裕福な大物実業家たちが推し進めた欧州スーパーリーグ構想を、大衆的な反対運動が打ち砕いた前例がある。英国のアンディ・バーナム首相(エバートンファン)もFIFAの提案を批判する中で「フットボールはあくまでもファンのもの」と語った。ビル・シャンクリーの言葉を借りるなら、フットボールは生き死によりもはるかに重要なもの。その美しいゲームを守るための戦いが、今、始まっている。
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