オイシックス又吉克樹が今季限りで現役引退「緊張感を忘れた自分に線を引いた」
プロ野球界にまた一人、味のある投手がユニフォームを脱ぐ。オイシックス新潟は10日、又吉克樹投手(34)が今シーズン限りで現役を引退することを正式に発表した。2013年ドラフトで独立リーグ・香川から中日に2位指名され、プロの世界に飛び込んだ右腕。NPB通算503試合に登板し、47勝32敗173ホールド11セーブ。まさに「便利屋」としてチームに欠かせない存在だった男が、自らの言葉で決断を語った。
引退の理由について、又吉は「緊張感なくマウンドに行くことが増えてきてしまったこと」を挙げた。本来、プロのマウンドは恐怖と隣り合わせの場所。「打たれたらどうしよう」「マウンドに行くのが怖い」という不安を毎日練習で乗り越え、必死に結果を出してきたという。ところがここ数カ月、「マウンドに行くのが楽しい」と感じる瞬間が増えた。当初は成長かと思ったが、振り返ればそれは「あの恐怖や緊張感から逃げているだけではないか」と自問自答するようになったという。独立リーグからNPBに挑んだ原点の気持ちを忘れかけている自分に気づき、「このままではチームの選手たちに良い刺激を与えられない」と、自ら線を引く決断を下した。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro 又吉は自身のプロ野球人生を振り返り、感謝の言葉を連ねた。中日時代にはファンから「又吉広報」の愛称で親しまれ、ルーキーイヤーから3年連続60試合登板を達成。FA権を取得し、独立リーグ出身者として初のFA権行使という歴史的な一歩も踏み出した。2019年に移籍したソフトバンクでは、ファン投票でオールスターに選出され、クライマックスシリーズ登板、さらにはリーグ優勝も経験。しかし、怪我に泣かされ思うような結果を残せなかった悔しさも口にした。「骨折のリハビリを乗り越えられたのは、両チームのファンからの励ましがあったから」と、ファンへの感謝も忘れない。
その後、メキシコでの短期プレーを経て、オイシックス新潟に加入。独立リーグからファーム・リーグに参加したチームで迎えるラストシーズンについて、又吉は「独立リーグの香川で始まり、13年後に新潟で終わる。これが自分らしい」と語った。残りのシーズンは、後輩たちに自分の全てを伝えるつもりだ。「実演しながら指導できる指導者になりたい」と、未来への展望も見据えている。
「503回もマウンドに送り出してくれた首脳陣、肩肘の怪我なく投げ続けられた身体をくれた両親に感謝したい」——又吉の言葉には、プロ野球という厳しい世界で生き抜いてきた男の誇りと、すべての縁への深い感謝が詰まっていた。あの緊張感を忘れかけ、それでも最後までマウンドに立ち続ける姿を、ファンは見逃せない。
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