有明ベスト8進出!“部員4人”の吹奏楽部が約40人編成の奇跡を生んだ舞台裏
有明(熊本)が歴史を塗り替えた。第108回全国高校野球選手権大会3回戦で東日大昌平(福島)を4-1で下し、春夏通じて甲子園初出場のチームが3試合連続の逆転勝ちでベスト8に駒を進めた。
この快進撃、実は野球部だけのミラクルではない。応援席にも“もう一つの奇跡”があった。なんと有明の吹奏楽部は部員がわずか4人。全員が女子で、応援団もチアガールもいない学校だ。これでは応援曲の演奏は成り立たないはずだった。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro ところが、野球部の甲子園出場が決まると状況が一変する。吹奏楽部のOB、OGに加え、現役のバスケットボール部、バレーボール部、テニス部、さらには“帰宅部”の生徒たち。そして学校がある熊本県荒尾市の「荒尾市民楽団」に所属する一般市民までもが名乗りを上げ、急ごしらえながら総勢約40人のブラスバンドが結成されたのだ。
年齢層は高校生から60代まで実にさまざまだ。仕事と掛け持ちで参加するメンバーもいるため、甲子園での3試合は入れ替わりや増減もあったという。全体練習は1回戦と2回戦の前に計2度行っただけというから驚きだ。
それでも演奏はしっかりとアルプス席を盛り上げた。クラリネット奏者として参加する荒尾市在住の心理カウンセラー、深浦淳美さんは「即席ではありますが、心は1つになれていると思います」と胸を張る。「私自身、高校時代にかなわなかった、甲子園のスタンドで演奏する夢がかないました」と感慨もひとしおだ。
深浦さんは「震災の被災地の方々も、この快進撃を喜んでくださっていると思います。逆転勝ちばかりですから、野球部員の最後まで諦めない気持ちに刺激を受けていると思います」と語る。
バスケットボール部の荒木竜翔さん(3年)は県大会で敗退し、部活動を引退した直後に吹奏楽部員から頼まれて参加を決めた。「僕は野球を観るのも好きなので、うれしいです」と満面の笑顔。初心者ながらスネアドラムを担当し、「自宅でもスマホで曲を流しながら、指でリズムを刻む練習をしてきた」と真剣そのものだ。
吹奏楽部の部長・松丸優來奈さん(3年)は、野球部が甲子園出場を決めた熊本大会決勝を自宅でテレビ観戦していたという。「野球部の壮行会の際、私たちから呼びかけをさせてもらい、そこで応じてくれた生徒もいます」と振り返る。「野球部が強いのは知っていましたが、吹奏楽部は部員が少ないですし、まさか甲子園で演奏できるなんて、1ミリも思っていませんでした。これほどたくさんの方々に協力していただけるなんて……感謝しかありません」と感激の面持ちだ。
試合は7回終了時点で0-1とリードを許す苦しい展開。しかし8回、50メートル5秒8の快足を誇る1番・永田晴輝内野手(3年)のバント安打を皮切りに、ダブルスチールなどで2死満塁のチャンスを作ると、代打・広沢遼太朗選手(3年)が左前へ逆転の2点適時打を放った。アルプス席はもちろんお祭り騒ぎだ。
永田は「自分たちだけの力ではありません。アルプス席のみんな、熊本県民の皆さんをはじめ、球場全体が自分たちの味方をしてくれていると感じます」と感謝を忘れない。
有明は18日の準々決勝で、2024年選抜大会優勝の実績を持つ健大高崎(群馬)と激突する。急造ブラスバンドの応援を背に、有明の挑戦はまだまだ続く。
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