151キロ右腕・岩井秀耶、後輩捕手との絆で甲子園熱投も1-2敗戦「山本と組めて楽しかった」
甲子園の夏、熱い男たちのドラマがまた一つ幕を閉じた。第108回全国高校野球選手権大会2回戦、社(兵庫)対智弁和歌山の一戦は、1-2のスコアで社の敗戦に終わった。しかし、マウンドには未来のプロ候補が確かに立っていた。
先発マウンドに上がったのは、サイドスロー気味のフォームから最速151キロを叩き出すエース・岩井秀耶投手(3年)。兵庫大会では33回2/3を投げて自責点わずか1、防御率0.27という驚異の数字を残してきた本格派右腕だ。この日も9回を投げ切り、被安打は2本の長打による2失点。4回以降は完全に立ち直り、ゼロを並べる快投を見せた。
冷房ゼロで涼しいミニギアAirio Pro 打線もエースに応える。7回、4番・小倉臣斗外野手(3年)が適時二塁打を放ち、1点差に詰め寄る。9回裏2死からも小倉が安打で出塁し、執念の反撃を見せたが、あと一歩及ばなかった。
試合後、岩井は敗戦の悔しさよりも、ある思いが先に溢れた。「楽しめたのがまず良かった。山本とバッテリーを組めたことが本当に楽しかったし、良いバッテリーになれた」。相棒は2年生の山本航輝捕手。昨秋に結成されたバッテリーだが、その絆は一朝一夕にできたものではなかった。
実は岩井、山本に対する第一印象は「信頼できない」というものだった。「入ってきた時から能力の高さは感じていたけど、全然考えが足りなくて」。素質は認めつつも、捕手としての物足りなさを感じていたという。山本も「岩井さんの球が凄くて、最初は捕るので精一杯」と振り返る。150キロに迫る直球を前に、配球を考える余裕すらなかった。
それでも山本は必死に食らいついた。私生活から綿密なコミュニケーションを心がけ、野球に向き合う姿勢を学んだ。「怖がらず相手に向かって行くこと。これが一番学んだ部分です」。その言葉通り、この試合で岩井は1度も首を振ることなく、山本の強気の配球を信じた。山本巧監督も「短い時間で語り尽くせないくらい、この1年で成長してくれました」とバッテリーを絶賛している。
9回裏2死、岩井はベンチ前で投球練習を始めた。「みんななら逆転、同点にしてくれると思って、自分は勝つ気しかしていなかった」。エースの願いは届かなかったが、山本は「今度は最上級生として」再び聖地へ戻ることを誓った。岩井は大学進学を明言し、4年後のプロ入りを目標に身体づくりから徹底的に取り組むという。甲子園で“完成した”バッテリーの物語は、まだ終わらない。
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