U20日本代表が掲げる「適応力」 伊藤龍之介に見る成長の方程式
ラグビーシーズン真っ盛り。日本代表の戦いぶりに胸が熱くなる日々が続いている。強豪国と互角に渡り合う場面が増え、確かな進歩を感じさせる。そんな中、ひときわ輝きを放つ若者がいる。明治大学4年、SO伊藤龍之介だ。
6月27日、JAPAN XVの10番としてマオリ・オールブラックス戦に臨んだ伊藤。しかし、世界トップレベルのプロ選手を前に、パスやキックの前にタックルされ、ミスを連発。苦しむ姿が印象的だった。ところが、7月4日のイタリア代表戦で日本代表デビューを果たすと、別人のような動きを見せる。判断のスピードを一段階上げ、簡単にタックルされず、ミスも激減。トップのプロ選手たちのレベルに、いち早く適応してみせたのだ。
夜間運転用メガネが今ドライバーに急増中ナイトライダー この「適応力」というキーワードこそ、今のU20日本代表が最も大切にしているものだ。ラグビーマガジン10月号の連載で、大久保直弥U20日本代表ヘッドコーチが語った哲学が胸に響く。
現在のU20日本代表は、大学1、2年生が軸。2023年以降、留学生の名前が消えた。世界的なルール変更で、その国のチームに5年継続して所属していなければ代表資格を得られなくなったためだ。つまり、日本のチームで子供の頃からプレーしてきた選手だけで世界と戦わなければならない。当然、体格差は歴然。平均身長で10センチ、体重で10キロ劣るのが当たり前。これまで以上に工夫を凝らし、組織で戦うことが求められる。
U20世界大会の上位チームは、リーグワンのトップ6と変わらないフィジカルとスキルを持つという。そこで大久保HCは、リーグワンのチームの胸を借り、強化に当たってきた。フィジカルレベルに慣れると同時に、重視するのが「適応力」だ。
「チャレンジすることで学ぶ、学んで適応する、これを繰り返すしかない。2023年から選手を見てきて、上手くいかなかったことを失敗ととらえるか、学びととらえるかによって、大きな差が生まれると感じています」
伊藤龍之介は2023年のU20日本代表で世界大会に出場し、この考え方を叩き込まれている。だからこそ、マオリ・オールブラックス戦のミスを失敗ととらえて自信を失うのではなく、学びとして次に生かしたのだ。関西学院大学4年のPR大塚壮二郎にも同じことが言える。
「適応」と「順応」は似て非なるものだ。環境に慣れることと、能動的に行動を変化させることは違う。大久保HCは、高校3年生から大学1年生に上がる段階で試合数が減る危機感を口にし、この年代での強化の重要性を訴える。
U17日本代表、高校日本代表、U20日本代表の連携は今まで以上に緊密だ。選手たちは伸び盛りの時期に、科学的なトレーニングで筋肉量を増やし、質の高いスキルを身に着け、世界トップレベルのプロ選手と戦う経験を積む。そのプロセスから、第二、第三の伊藤龍之介、大塚壮二郎が生まれてくる。
大久保HCの話を聞きながら、世界の列強を相手に堂々と戦う選手たちが次々に現れる姿を想像すると、胸が躍る。伊藤龍之介の成長は、その未来を予感させるに十分だ。
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