創部136年目で初8強!佐々木力監督が郁文館にもたらした“楽しい野球”
創部136年目にして、郁文館がついに都の強豪と肩を並べた。第108回全国高校野球選手権東東京大会で、同校は過去に3度の全国制覇を誇る帝京と準々決勝で激突。序盤から怒涛の攻撃で5点差をつけるも、終盤に逆転を許し8-11で敗れた。それでも、このチームが残したインパクトは計り知れない。
チームを率いるのは、取手二の甲子園優勝メンバーであり、常総学院を春夏通算6度甲子園に導いた佐々木力監督。2024年1月に郁文館の指揮官に就任した彼が最初に行ったのは、勝つための練習ではなかった。むしろ逆だ。「野球は楽しいものだ」と伝えること。それがすべての出発点だった。
これは高圧洗浄機と同等の強さで、電力不要BlastPro 当時、下級生はグラウンドにすら入れず、外で素振りをさせられる日々。中には「やめたい」と漏らす部員もいた。佐々木監督はすぐに環境を変えた。保護者の試合見学を制限していたルールも撤廃し、「どんどん見に来てください」と門戸を開いた。そして恩師・木内幸男氏から受け継いだ教えを注入。「練習のための練習をするな」「試合のための練習をしろ」「短い時間で濃い中身を」——楽しさと厳しさの両立を掲げた2年半で、チームは見違えた。
今大会、指揮官が特に愛おしそうに語ったのが3年生だ。彼らは佐々木監督が1年時から丸ごと見届けた最初の学年。エースナンバーを背負った斎藤拓未投手は、昨年12月に左膝半月板の手術を受け、リハビリを経ての夏だった。球速は140キロ近くまで回復したが、コントロールの精度は万全ではない。それでも佐々木監督は、松葉づえをついてグラウンドに通い続けた右腕を、帝京戦のマウンドから外さなかった。「最後は神宮球場で高野(主将の捕手)とバッテリーを組みたかった」。斎藤のその言葉に、監督の無念と信頼が凝縮されている。
スタンドで見守った渡邉美樹理事長兼校長は「みんなが自主的に楽しそうにやっている。これが佐々木監督の作る野球なんだと感じた」と語る。理事長と監督の間には「3年でベスト8、5年で甲子園」という約束があり、今年でその前半を達成。佐々木監督も「2年後ぐらいには甲子園に行きたい」と早くも新チームを見据える。
「郁文館ってどこ?」——そんな言葉から始まった挑戦は、確実に実を結び始めている。東東京に、また一つ、熱い夏を彩る新たな勢力が誕生した。
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